柿右衛門とその歴史 3.近代〜現代

染錦唐草龍鳳凰文壷
十一代酒井田柿右衛門
柿右衛門窯所蔵

明治の頃に活躍したのは十一代柿右衛門(1845~1917)です。国際博覧会などに積極的に出品し、数々の賞を受賞しました。 しかし、大正から昭和の時代には戦争が続いたこともあり、苦しい時代は続きました。

十二代柿右衛門(写真左)、十三代柿右衛門(写真右)

真の意味で柿右衛門窯の再生に力を注いだのが十二代柿右衛門(1878~1963)と十三代柿右衛門(1906~1982)です。柿右衛門窯の歴史と伝統を振り返り、最も隆盛を誇った17世紀後期の頃に立ち返るべく、「濁手」の復興に取り組み、1953年に成功しました。かつての栄光を取り戻すように、あたたかみのある乳白色の素地に、余白をたっぷりととった構図と、色鮮やかな上絵具で文様をあらわした柿右衛門様式磁器が完全に復活しました。瞬く間に評判となり、全国でも高い支持を得て、1971年には「濁手」の技術は重要無形文化財(総合)の指定を受けました。これ以降、「濁手」の色絵磁器は柿右衛門窯の代表的な製品として定着しました。

十四代柿右衛門

1982年に酒井田家当主となった十四代柿右衛門(1934~2013)は、祖父と父の偉業を継承するように積極的に個展活動を行いました。華やかな色絵磁器は国内外が高く評価されて、2001年に色絵磁器の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。惜しまれながら2013年に他界し、現在は十五代柿右衛門(1968~)が当主を務めています。